はじめに
前回の記事では、Claude Codeを使った人生管理システム「LIFE SYSTEM」の全体像を紹介しました。
この記事では、LIFE SYSTEMを始める最初のステップとして、「telos(テロス)」の作り方と、それを作成するための /telos-init スキルの中身を紹介します。
LIFE SYSTEMには /daily-journal や /plan-tomorrow など、日常運用を支えるスキルがいくつかあります。
ただ、これらのスキルは、「自分が何を目指しているか」が明確になっていて初めて意味を持ちます。
その判断軸を置く場所が、telos/ フォルダです。
telos(テロス)とは
telosはアリストテレス哲学の概念で、「目的・目標」を意味する言葉です。
LIFE SYSTEMにおける telos は、システム全体の羅針盤として機能します。
日々の振り返りも、翌日の計画も、習慣管理も、すべてが「自分は何を目指しているか」を軸に動くように設計しています。
さらに具体的に言うと、telos/ フォルダは CLAUDE.md から参照するようにしています。
Claude Codeが telos の内容を踏まえた状態で動くため、「自分の状況を踏まえた」返答が返ってくるようになります。
telos/ に置く5つのファイル
telos/ フォルダには、次の5つのMarkdownファイルを置きます。
| ファイル | 内容 | 一言で言うと |
|---|---|---|
VALUES.md | 自分が大切にしている価値観 | 何のために生きるか |
MISSION.md | 人生の方向性・果たしたいこと | どこへ向かうか |
VISION.md | 5年後のなりたい姿 | どんな状態になりたいか |
GOALS.md | 今年・3年以内の具体的な目標 | 何を達成するか |
CONSTRAINTS.md | 今の制約(時間・収入・環境) | 今できること・できないこと |
この5ファイルがそろうことで、AIが「この人はどういう人で、今どんな状況にいて、何を目指しているか」を把握しやすくなります。
/telos-init スキルで作る
telos を作るために用意しているのが、/telos-init スキルです。
これは、自分の価値観や目標をいきなり文章にするのではなく、AIとの対話を通じて少しずつ引き出していくためのスキルです。
「自分が何を大切にしているのか分からない」
「目標を書こうとしても、うまく言葉にならない」
「いきなり MISSION.md や GOALS.md を書くのは難しい」
そんな状態でも始められるように、/telos-init ではAIがインタビュー形式で問いを投げ、回答をもとに各ファイルの草稿を作成します。
基本的な流れ
/telos-init を実行
↓
AIコーチが1問ずつ質問を投げる
↓
自分の言葉で答える
↓
AIが回答をもとに草稿を提示する
↓
確認・修正して telos/ に保存する
↓
次のファイルへ進む
このサイクルを、VALUES.md、MISSION.md、VISION.md、GOALS.md、CONSTRAINTS.md の5ファイル分繰り返します。
ポイントは、AIにきれいな答えを作らせることではなく、AIとの対話を通じて、自分の中にある価値観・目標・制約を引き出すことです。
そのため、スキル内では「回答に応じて掘り下げる」「草稿を提示したら、必ず確認してから保存する」「AIっぽい言い換えをせず、本人の言葉をできるだけ使う」といったルールを入れています。
/telos-init スキルの中身
実際のスキルの内容は下記の通りとなっています。
/telos-init スキル全文を見る
---
name: telos-init
description: 自己定義(telos/)を対話形式で作成する。価値観・目標・制約を引き出すインタビューを行い、telos/フォルダのファイルを作成する。
disable-model-invocation: true
---
あなたは原田隆史メソッドを熟知したライフコーチです。
これから私の価値観・目標・制約を引き出すインタビューを行い、telos/ フォルダのファイルを作成してください。
## 進め方
以下の5つのファイルを、1つずつ順番に作成します。
一度に全部聞かず、1ファイルごとに「問いかけ → 回答を待つ → 草稿を提示 → 確認」のサイクルで進めてください。
### ファイル作成順序
1. **VALUES.md**(価値観)
2. **MISSION.md**(人生の方向性)
3. **VISION.md**(なりたい姿)
4. **GOALS.md**(具体的な目標)
5. **CONSTRAINTS.md**(今の制約)
### 各ファイルの進め方
#### Step 1: 問いかけ(1ファイルにつき3〜5問)
- 1問ずつ聞く。一度に全問を投げない
- 相手の回答に応じて掘り下げの質問をする
- コーチとして、相手が自分でも気づいていない本音を引き出す
#### Step 2: 草稿の提示
- 回答を踏まえてMarkdownファイルの草稿を作成し、提示する
- 「この内容で合っていますか?修正したいところはありますか?」と確認する
#### Step 3: 確定と保存
- 確認が取れたら telos/ に保存する
- 「次は○○.md に進みますね」と伝えて次に移る
## トーン
- 温かく、でも甘やかさない。コーチとして本気で向き合う
- 相手の言葉をそのまま使って草稿を書く(AIっぽい言い換えをしない)
- 「いい答えですね」ではなく「○○という言葉が出てきたのは、□□を大切にしているからかもしれませんね」のように、気づきを返す
このスキルで大事にしているのは、AIに正解を出してもらうことではなく、AIを使って自分の言葉を引き出すことです。
telos/ は、今の自分が何を大切にしていて、どこへ向かいたいのかを一度外に出すための場所だと考えています。
各ファイルの役割と書き方
/telos-init を実行すると、VALUES.md、MISSION.md、VISION.md、GOALS.md、CONSTRAINTS.md の順番で作成されていきます。
ここでは、それぞれのファイルが何のためにあり、どのように書き分けるかを整理します。
1. VALUES.md(価値観)
VALUES.md は、自分が何を大切にしているかを言語化するファイルです。
ここで書くのは、「こうあるべき」という理想論ではなく、実際に自分の心が動いた経験から見えてくる価値観です。
たとえば、
- どんなときに充実感があったか
- 逆に、どんなときに強い違和感やストレスを感じたか
- 何を失うと、自分らしさが失われると感じるか
といった経験を掘り下げていくと、自分が大切にしているものが見えてきます。
ここで出てくる言葉は、人によって違います。
自分の実感に近い言葉で残すことを重視しています。
2. MISSION.md(人生の方向性)
MISSION.md は、自分がどこへ向かいたいのかを短い言葉で表すファイルです。
VALUES.md が「大切にしているもの」だとすると、MISSION.md はそれを踏まえたうえでの人生の方向性です。
ここでは、細かい目標を書くというよりも、迷ったときに立ち戻れる一文を作ります。
MISSION.md は、かっこいい言葉にする必要はありません。
自分が本当に納得できる言葉になっていることが重要です。
3. VISION.md(なりたい姿)
VISION.md は、将来どんな状態で暮らしていたいかを具体的に描くファイルです。
ここでは、抽象的な目標だけを書くよりも、理想の1日を描写する形にするとイメージしやすくなります。
たとえば、次のような観点で書いていきます。
- 何時に起きているか
- どこで過ごしているか
- 誰と時間を使っているか
- どんな仕事や活動をしているか
- 今の生活から何が減っているか
- 今の生活に何が増えているか
「理想の1日」を書いておくと、目標の優先順位が決まりやすくなります。
なぜなら、「この生活を実現するには何が必要か?」という逆算ができるようになるからです。
VISION.md は、夢を大きく書く場所というよりも、自分が本当に望んでいる生活の解像度を上げる場所だと考えています。
4. GOALS.md(具体的な目標)
GOALS.md は、今年・3年以内に達成したいことを具体的に書くファイルです。
MISSION.md や VISION.md だけだと、方向性は見えても日々の行動には落ちにくいです。
そこで、実際に追いかける目標として GOALS.md に整理します。
ここで大事なのは、達成できたかどうかを後から判断できる形にすることです。
たとえば、
iOSアプリ制作を頑張る
よりも、
2026年末までに、iOSアプリを3本公開する
のように、数字や期限を入れると行動に落とし込みやすくなります。
ここは、日々の /plan-tomorrow や /daily-journal と特に強くつながります。
明日の計画を立てるときも、1日の振り返りをするときも、AIはこの GOALS.md を見ながら「今の行動は目標に近づいているか」を確認してくれます。
5. CONSTRAINTS.md(今の制約)
CONSTRAINTS.md は、今の自分にできること・できないことを整理するファイルです。
制約を書くというと後ろ向きに感じるかもしれませんが、実際にはここがかなり重要です。
なぜなら、制約を無視した目標は、すぐに現実とぶつかって止まってしまうからです。
たとえば、
- 平日に使える時間はどれくらいか
- 休日にどれくらい作業できるか
- 収入面で変えられない条件は何か
- 家族・仕事・健康面で守るべき前提は何か
- 今はやらないと決めることは何か
といったことを整理します。
特に意識しているのは、制約を2種類に分けることです。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 変えにくい制約 | 勤務時間、収入、家庭の事情、体力、今すぐ変えられない環境 |
| 工夫できる制約 | 時間の使い方、優先順位、作業場所、投資配分、習慣 |
この切り分けをしておくと、AIの提案も現実的になります。
たとえば、平日に2時間しか使えない人に対して、毎日5時間の作業計画を出しても意味がありません。
CONSTRAINTS.md は、自分を制限するためのファイルではなく、今の条件の中で最大限前に進むためのファイルです。
telosとClaude Codeを接続する
5ファイルが完成したら、CLAUDE.md からtelosを参照するように設定します。
# CLAUDE.md の冒頭に追加
## 私について
@telos/MISSION.md
@telos/VALUES.md
@telos/GOALS.md
@telos/CONSTRAINTS.md
私の場合、CLAUDE.md で常に参照させているのは、VALUES.md、MISSION.md、GOALS.md、CONSTRAINTS.md の4つです。
VISION.md も大事なファイルですが、日常のコーチングや判断に直接使うというより、将来像を描くためのインスピレーション素材に近い位置づけです。
そのため、コンテキストを必要以上に増やさないように、通常の CLAUDE.md からは外しています。
このように設定しておくことで、Claude Codeはスキルを実行する際に、自分の価値観・方向性・目標・制約を参照した状態で動けるようになります。
たとえば /daily-journal を実行すると、AIは「自分が目指していること」を踏まえて、振り返りの問いを立ててくれます。/plan-tomorrow では、GOALS.md や CONSTRAINTS.md を参照しながら、明日の優先順位を整理してくれます。
これにより、単なる一般的なAIアドバイスではなく、自分の価値観・目標・制約を踏まえた対話ができるようになります。
telos は定期的に更新する
telos は一度書いたら終わりではありません。
状況が変わったとき・迷いが生じたときは、/telos-init を再実行して更新していきます。
更新の目安は、次のようなタイミングです。
- 年に1回(年末・年始):
GOALS.mdの見直し、CONSTRAINTS.mdの棚卸し - 大きな変化があったとき:転職・結婚・収入の変化など
- なんとなく行動が止まっているとき:
MISSION.mdやVALUES.mdに立ち戻る
telos は「完璧に書くもの」ではなく、「今の自分の状態を映すもの」です。
最初は荒削りで構いません。運用しながら少しずつ育てていく感覚でよいと思っています。
おわりに
LIFE SYSTEMの各スキルは、telos があって意味を持ちます。
telos を作ることで、LIFE SYSTEMは動き始めます。
「何を大切にして生きているか」
「どこへ向かっているのか」
「今の自分には何ができて、何ができないのか」
これらを言葉にすることが、自分の人生を考えていく第一歩になると感じています。
まずは /telos-init を起動して、AIコーチとの対話を始めてみてください。
最初の問いに答えるだけでも、思っていた以上に「自分の本音」が外に出てくるはずです。
関連記事
- Claude Codeで人生を管理するLIFE SYSTEMの取り組み — LIFE SYSTEM全体の構成や運用フローについてはこちら
参考にしたもの
- Personal AI Infrastructure (PAI) — Daniel Miessler氏によるAIインフラ。TELOSの考え方を参考にしました
- 原田隆史『目標達成ノート STAR PLANNER』 — 目標設定・価値観の整理・ルーティン設計の考え方を参考にしました


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